2.増加する書類
2-1.書類の種類 (旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)

ファイリングの部屋
HOMEへ

 

これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

一言で文書といってもさまざまな種類があり、それにあわせたファイリング方法をとらなければ、使いづらいものとなり、結果的に使わなくなってしまうことになります。
 
帳簿類
 

企業活動の根幹とも言うべきもので、法律により保存を義務付けられています。これまではすべて紙の状態で保存することが義務付けられていましたが、平成10年3月に「電子帳簿保存法」(正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」)が制定され、電子保存が認められました。この法律では、平成11年度から実施することが認められていましたが、コンピュータの2000年問題との関係で手がまわらず、導入が遅れた会社もあったようです。

これまでは法律で決められていたため、大量の帳簿をコンピュータから打ち出し、支店や営業所にトラック一杯の帳簿書類を毎月配送し、通常は使わないためそのまま倉庫に保管していた企業もありました。これらの書類の電子保存が認められたため、コンピュータ用紙の売上が急減し、また保管を請け負っていた倉庫業者についてもその量が減り、大きな影響を受けたようです。大手スーパーでは年間6千万枚の帳票が発生し、5年間保存するために必要な倉庫スペースが3000坪(日本情報処理開発協会 94年調査)との報告もあり、省資源の面だけからみても大きな効果が期待できます。

   
申し込み書類など
 

金融機関や保険会社などでの契約書や申込書などは、その契約が有効な間は保管することが必要で、その量が膨大なものとなります。これらの書類は、支払い請求などがあったときには、すぐに取り出す必要があります。これまでは契約書などの原本は地方の倉庫などに保管し、通常はマイクロフィルムとしたり、光ファイルに取り込んで利用しているケースが多かったのですが、中には都心の一等地のビル内に原本を保管しているところもありました。
これらの書類は、申し込み番号や氏名など、特定の限られたキーワードをつけるだけで簡単にデータベース化できたことから、光ファイリングの典型例として使われました。

   
社内での事務処理用書類
 

出張旅費清算などの書類は、最近はパソコンで入力する方法に置き換わりつつあります。伝票の入力から電子承認、経理上の手続き、データベース化と一連の決まった処理の流れを電子化するもので、ワークフローの典型的な事例です。
ワークフローを導入すれば、紙の書類は不要となりペーパーレスオフィスが実現するかのようにいわれる場合がありますが、このような定型的な事務処理の場合に限定した場合に限ります。

   
予算書類など
 

予算関係の書類は定型であり、データベース化しやすい文書です。しかしこの書類は半年後の修正予算作成時と、1年後の次年度予算の作成時期までは、ほとんど参照しない文書であり、紙の書類としてバインダーに綴じる、あるいは電子データとして外部記録媒体に保存する、程度の取り扱いしかされていません。

   
工場の運転日誌など
 

これまでは運転管理や、合理化などの解析用に使われるだけで、保管方法、保管基準などはすべて企業の自主性に任されていましたが、最近ではISO9000やPL法の対応のために保管が必要となっています。定型的な書類であり、ライン名、日付程度の簡単なキーワードを付与するだけでデータベース化も簡単なことから、光ファイルやマイクロフィルムで保管することも容易です。

   
研究記録など
 

報告告書とする場合は別で、通常は非定型文書のかたまりであるといっても過言ではないでしょう。貴重な資料であり大切に保管されるものですが、実験記録などの保管については保管方法についての明確な基準が無いところが多いようです。アメリカの先発明主義に対抗するためには、日常のメモのようなものまで保管基準を定める必要があるでしょう。(あるメーカーでは、決まった形式の実験ノートを支給し、使い終わった時にはこれを公証人役場に持ち込み、日付などについて証明をもらっているとのことです。)

研究報告書については定型書類としているところが多く、早くから社内データベースとしているところが多いようです。

   
設計図面
 

機械や建築物などの設計図面、電気などの回路図は、最近ではCADを利用して作成したものが主流ですが、古いものは、ほとんどが紙に書かれたものです。最近でも、客先による図面の承認を受ける場合は、図面にサインや承認印をもらう必要があり、これが正式な最終図面となるため、どうしても紙の図面がなくなることは無いようです。

   
カタログ類
  技術部門や、営業部門では参考資料として大切なものです。最近はインターネットから、カタログをダウンロードすることもできるようになってきていますが、それはまだ主要製品のごく一部だけです。特に展示会などで入手できるカタログは、貴重な資料となります。
   
新聞・雑誌の切り抜き
  社会動向、技術動向、市場動向などを知る上で、新聞や雑誌は貴重な情報となります。このため新聞・雑誌から、必要と思われるものをピックアップすることは、どこでも行われています。
この時、著作権について十分な注意が必要です。新聞のコピーは事実上黙認されてきましたが、2002年7月に違法であるとの見解を明確に示しました。(「電子ファイル化と著作権 」参照)

ここに挙げた文書の例はごく一部であり、実際はさまざまなものがあります。また、さまざまなファイリング方法があり、1つの方法に最適なものであっても、他の文書については不適切といったものもあります。自社内だけで構築する場合でも、外部のコンサルティングを使う場合でも利用・活用方法を明確にしてそのファイリングシステムを決めるべきで、ただ1種類の方法ですべての書類を取り扱うことは不可能と考えるべきです。

ここまでに述べてきた書類は、従来の形態での企業活動から派生するものです。今後はこれらの書類に加え、新しいタイプのものが、ファイリングの対象として含まれてきます。これらの例は「新しい種類の情報」のページで触れています。

また、これらの書類が発生して、廃棄されるまでについては「書類の一生」のページを参照してください。

 

| Topページ | 0.はじめに | 1.情報の記録 | 2.増加する書類 | 3.作成から廃棄まで |
| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

backnext| 7.電子ファイルとファイリング | 8.LANの活用と問題点 | 9.ファイリング意識の向上 |
| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム |
| 12.リスク管理 | 13.ファイリングに関する動き | 14.付録 | 15.編集雑記 |


Updated on 2013/09/28