2.増加する書類
2-2.保存が必要な書類の
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

企業活動を行っていく上でさまざまな書類が発生し、これを保存・保管していく必要があります。これまでは紙の書類としてそのままファイリングを行い、キャビネット、書架、書庫などを利用して保存・保管できていました。

しかし最近では、ISO9000、ISO14000の取得で各種の書類を保存する義務が生じているほか、PL法への対応のための書類、顧客満足度(CS)向上のためのデータ保管など、書類保管のニーズはこれまでに比べて非常に高くなってきています。
さらには新会社法、金融商品取引法では、内部統制が義務付けられるようになり、ますます記録管理が大切なものとなっています。

 
PL法製造物責任法
 

製造業者の製品に対する責任期間を定めたもので、最終使用者に引き渡し後 10年とされています。この法律により、消費者が製造業業者を訴えた場合、消費者側が問題点を証明するのではなく、製造業者が問題がないこと証明することが必要になりました。製造業者側としては、消費者に対して(使用説明書などで)十分な警告を行っていた、あるいは十分に検討を行ったが、その当時の技術では予見不可能であったことを証明する必要があります。
製品の製造・加工・出荷・販売の記録や品質管理データなどの保存が必要とされています。
時効は10年ですが、身体に蓄積した場合に、人の健康を害することとなる物質による損害などでは、その損害が生じた時から起算するとなっているため、さらに長期間の保存が必要です。

最近購入する商品に添付されている取扱説明書には、考えられる危険性などが書かれているだけでなく、常識的に判断すれば当たり前のようなことまで書かれています。アメリカで販売されている(いた?)子供のおもちゃで、スーパーマンのマントの説明書には、このマントでは空を飛べませんと書かれていたと聞いています。普通はこのような警告部分は読まないものですが、注意して読むと、結構おもしろいものがあるかもしれません。

   
ISO9001
 

品質保証に関する一連の国際規格で、日本ではまだ企業の信頼度を上げる程度にしか利用されていませんが、海外の会社ではビジネスを行っていく上で必要なものとなりつつあるようです。
建設省が進めているCALS/ECアクションプログラムでは、プログラムが完了する2004年には、一定レベル以上の公共工事を電子調達を行うことし、入札参加資格としてISO9000、ISO14000の取得が必要とされており、これを取得していなければビジネスに参加できなくなる状況もでてきました。

この規格はトレーサビリティを確保するためのものと言うことができます。製品に問題点などがあった場合、その製品がいつ、どこで、どのような原料を使い、どのような条件で生産されたか、すべて明確にできるように、データを整理して保管することが義務付けられています。生産工場に限ってみても、原材料の購入関係書類、受け入れ検査データ、生産条件、操業記録、製品の中間検査、完成検査などのすべての記録を保存するだけでなく、これらを行うために必要な体制などについもすべて文書での管理を義務付けており、書類のファイリングが非常に重要なファクターとなっています。
ISO9000は、その取得を継続するために監査を受ける必要がありますが、監査員はそこで働いている従業員(もっとも知らないと思える人を指名して)に対し、指定した基準所を持ってくるように指示を出し、その人がすぐに対応できなければ監査不合格となるため(3分以内に取り出せなければならないとされ、俗に3分ルールともいわれています)、従業員全員に対する徹底も必須です。

ISO9000は、一定の品質基準の下に生産されたことを保証しているだけで、品質そのものを保証しているものではありません。
なお、2000年に改定され、これまでのISO9002、9003は廃止され、ISO9001第3版(2000年版)として統一されました。

   
ISO14000
 

環境マネジメントシステムに関する一連の国際規格で、環境問題に対する意識の高まりから、これを取得することで企業イメージを向上することができるとして、ISO9000を上回る勢いでこの取得が進んでいるようです。 その会社で使用している電気・ガスなどのエネルギーや、原材料の使用量をチェックし、削減目標を立てて省資源・省エネルギー達成のために活動を行うもので、その活動記録などの書類保管が義務付けられます。省資源の中には、紙の消費量削減も含まれるため、書類の電子化が進む可能性もあります。

   

顧客満足度(CS)向上
  企業間での競争が高まってきている中で、少しでも自社を有利にするために行うもので、特別な方法などはありませんが、顧客に関するデータベースの充実が基本となるようです。
   

OHSAS18001
 

労働安全衛生マネジメントシステムの規格で、国際コンソーシアムによって作成され、1999年 4月に発行された新しい規格です。組織が労働安全衛生に関して、労働者などに対するリスクを最小限とするもので、ISO14001との整合性を意識して作られています。ISOと同じ体系で文書管理が可能なように配慮されてはいますが、新たな文書が必要なことは言うまでもありません。

   

アカウンタビリティ(説明責任)
  企業などにコンプライアンス(法令順守)が強く求められるとともに、ビジネスなどでトラブルが発生した時には、それを説明する義務があるとされるようになりました。この説明のときの根拠となる記録の必要性が高まり、記録管理に対して ISO15489 が制定されました。
   
HACCP(危害分析・重要管理点)
  食品関係の会社ではHACCPの採用が政府より推奨され、この手法を採用している場合は、税制上の優遇措置も与えられています。
   

特許の先使用権確保
  新しい技術を開発したとき、登場は特許を取得しますが、特許はその技術内容が公開されるため、ノウハウとして対外的に秘匿する場合があります。この場合、別の会社が特許を取得しても、この特許より前から、その技術を使って事業を行っている、または時宜う開始の準備をしていたことが証明できれば、先使用権として、この技術を使用した事業を継続することができます。
このためには、技術関連の書類や、事業関連の書類の保存が必要です。
   
内部統制
  新会社法や金融商品取引法で、内部統制の強化が求められるようになりました。内部統制についての記録は、第三者による検証が可能なようにすることが求められており、関連する証拠書類を合わせて保存する必要があります。
(詳しくは「内部統制」のページ参照)

これらの状況から、保管が必要な書類の量は急増しており、従来のように単に紙の書類をバインダーでとじて書架などに置いておくことが不可能となってきています。保管場所の削減、検索の容易性とともに、最近のコンピュータ技術の進展から、書類を電子化するニーズが急速に高まってきています。
一方、保管場所などの問題から、いつまでも書類を保管することは不要で、保存期間を過ぎたものは廃棄しなければなりません。
また、保存・保管している書類の量についても、ある程度の基準を決め、整理することは大切です。 これについては「書類の量」のページを参照してください。

 

| Topページ | 0.はじめに | 1.情報の記録 | 2.増加する書類 | 3.作成から廃棄まで |
| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

backnext| 7.電子ファイルとファイリング | 8.LANの活用と問題点 | 9.ファイリング意識の向上 |
| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム |
| 12.リスク管理 | 13.ファイリングに関する動き | 14.付録 | 15.編集雑記 |


Updated on 2013/09/28