働き方改革

厚生労働省のホームページ『「働き方改革」の実現に向けて』で、その目的について『「働き方改革」は、この課題の解決のため、働く方の置かれた個々の事情に応じ、多様な働き方を選択できる社会を実現し、働く方一人ひとりがより良い将来の展望を持てるようにすることを目指しています。』としています。概論的な説明であり、これだけでは何を言っているのか分かる人は少ないのではないでしょうか。

もうすこし詳しく説明したものでは「同一労働同一賃金」、「長時間労働の是正」、「柔軟な働き方がしやすい環境整備」などが挙げられています。これらが実現すると、素晴らしい社会が生まれて来るように思ってしまいがちですが、注意したいのは、これらにはすべて前提があり、その前提の範囲内での話だということです。働き方改革は当然進めるべきことですが、改善されるのは一部分だけと理解する必要があります。

「同一労働同一賃金」は正規雇用と非正規雇用の差をなくすことですが、ここでも「不合理な待遇差を是正すること」とあり、合理的な差(結果に対する責任や異常時のとっさの判断ができるなど)は容認されます。「長時間労働の是正」でも適用除外とされる職種が、「自動車運転」、「建設」、「医師」、「研究開発」とされていのす。しかし過労死で問題となった電通のような事例では、いくら残業時間を減らしても、時間外であっても課題を考えているわけで、問題を顕在化させてしまうだけです。さらに「柔軟な働き方がしやすい環境整備」は、オフィスで働く人だけが対象と考えて間違いなさそうです。

2018年7月25日にIDC Japan(株)が「国内働き方改革動向分析結果」を発表しました。『日本国内における働き方改革関連ICTツールの利用動向調査の結果を発表しました。これによると、導入率が高いものから順に、旅費/経費精算(47.5%)、勤怠管理(43.8%)、ワークフロー(42.5%)という結果』とのことですが、アンケートの対象はオフィスワーカーに限定しています。

文書情報管理の観点から働き方改革を見れば、まずは在宅勤務やサテライトオフィスが柔軟に選択できるようにするみとが重要で、このためには必要な書類を、いつ、どこからでも利用できるようにすることが最低限必要で、このためには必要な書類やデータが登録されていなければなりません。アクセス制御や機密管理は重要ですが、これらが完全にできても、必要な情報が登録されておらず、利用出来ないのであれば何の意味もありません。

2018年07月26日