公文書管理の範囲
「桜を見る会」の出席者名簿について、電子データを削除した時点で公文書を破棄したものとしており、政府はバックアップは公文書には該当しないとの見解を示しています。
これには難しい問題が含まれているようです。
バックアップされたデータは、ファイルサーバで行われているようなファイル単位で保存されているわけではなく、特別な形式で保存されています。一般の人はそのデータを扱うことができないだけでなく、たとえ扱うことができたとしても、バックアップされたすべてのデータをすべて元のファイル形式に変換した後でなければ、利用することはできません。このため一般的にバックアブデータを公文書であるとすることには無理があるでしょう。
非常時などではデータを復活させてから、これを公文書として再度認識すれば問題はないと思われます。
ただ、このバックアブが公文書ではないとしても、この中に機密情報が含まれているものであるとして、取り扱いには厳密な注意が必要です。
このバックアップとは別に、サーバーやパソコンがもともと持っている機能で、自動的に以前のデータを残しています。これは1日単位のものでしかありませんが、データを誤消去したり誤って書き換えたりしたときなど、前日のデータは取り戻すことができるものです。
このデータは、ファイルサーバーを利用できる人であれば取り出すことができまが、これもやはり念のために残されているものとして、バックアップデータと同様のものと考えるべきでしょう。
電子データとして作成し、管理しているものは、活用している原本ともいえるデータのほかに、システムとして意図的に残すバックアップ用のデータのほかに、サーバーなどが持っている機能として残しているものがあり、さらにバックアップは単に1つだけでなく、複数の世代のものがあります。公文書として厳密に管理するのは、原本としているデータのみとし、他のバックアップデータなどは、機密漏洩に関してのみ厳密に管理すればよいのではないでしょうか。