5.書類の電子化
5-7.法定保存文書の電子化 (旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)

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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

民間への紙による文書保存義務について、原則として電子保存を容認するとし、e-文書法が成立しました。成立までの経緯は「e-文書イニシアティブ」で触れていますが、ここでは、法定保存文書を電子化して保存するための要件についてまとめてみます。

経済産業省では、文書の電磁的保存等に際して確保すべき要件及び具体的な活用事例等について検討を行うことを目的として、「文書の電磁的保存等に関する検討委員会」を2004年10月24日に発足させました。この検討委員会で検討での内容については、その連絡ページで公開されていますので、詳細はここを参照してください。事務局は日本情報処理開発協会です。
なお、法律用語では電磁的保存が正しい表現ですが、ここでは他のページで説明している言葉と同じ表現として、電子保存などとします。

このページは、経済産業省が2005年5月 6日に発表した報告書をベースとしています。(2005.6.12修正)

 
法律で保存を義務付けている制度の類別
  電子保存の要件を検討するうえで、2つの角度から類別を行っています。
       
  行政の関与のあり方の観点からの類別
    1.保存の具体的方法を規定しない制度
      書面と同様に電磁的保存の場合においても、保存の具体的方法の規定がないものを指す。保存の具体的方法やセキュリティの水準については、当該法人により決すべきであり行政側で規制すべきでものではないと判断されているもの。
商法や中小企業等共同組合法などが、これに該当します。
       
    2.保存の具体的方法について一定の水準を確保する努力基準を置く制度
      保存の具体的方法に対して、見読性(すぐに表示できる)に関して何らかの義務要件を課している。また、義務的な要件ではないが、完全性や機密性に関しても、一定の水準を確保するため技術的な内容の努力基準が課されているものがある。
電気事業法、ガス事業法、高圧ガス保安法など、既に電子保存を認めている多くの法令が該当します。
       
    3.保存の具体的方法について厳格な要件を課す制度
      この分類には、例として法令上保存義務のある医療関係書類の保存や税務関係書類の保存などが該当する。
医療関係書類など身体、生命に極めて大きい影響を与える制度については、電子保存の際に保存義務者に対し、一定の厳格な要件を課している。国税務関係書類などのように、適正公平な課税の確保の観点から、要件を厳格に定めているものもある。
医師法、歯科医師法、医療法などで保存義務のある医療関係書類などが該当します。
       
  文書の与える影響の度合いによる類別(上記の「2.保存の具体的方法について一定の水準を確保する努力基準を置く制度」について、さらに次の二つに分類)
    1.文書の内容が消失、改ざん、漏洩等により保存当事者以外にまで主要な影響を与えるもの
     

過失・故意に関わらず、データが消失、改ざん、漏洩などで生じた問題が、保存当事者以外に主要な影響を与える文書であるもの。生命、身体、財産、プライバシー等に関する事を記載した文書や、事業に関連する重要な検査記録等が該当。

       
    2.文書の内容が消失、改ざん、漏洩等により保存当事者のみに主要な影響を与えるもの
      消失、改ざん、漏洩等が、保存当事者のみに主要な影響を与えるものが該当。
義務を特段追加的に課す必要がなく、保存法は、保存当事者の決定にまかせて良いとしている。
       
電子保存するための要件
  電子保存に対しては、「書面と比較して同等となるよう適切な要件を課すことが必要である。」とし、あまり厳しい要件をつけないように述べています。
想定される問題点として「見読性」、「完全性」、「機密性」、「検索性」の観点から捉えています。
「見読性」については、商法のように規定していないものもありますが、ほぼ全ての類別のものに必要です。「完全性」など他の点については、上記の類別によって不要とされたり、義務ではなく努力基準とされたりしています。
       
  見読性
   

単純に表現すると、保存されているデータをディスプレイで表示したり、印刷できるようにしておくことですが、内容を確認できることが必要です。特にスキャニングにより電子化したデータ(ここでは「イメージ化文書」と名づけています)は、「必要な程度で」表示や印刷が出来るようにとされています。
「この必要な程度」とは、解像度・階調等についてスキャナーの設定を行うことを求めており、スキャナーで読み取った文書が、元の文書と内容として同じ物であると確認できる精度で入力する必要があるとしています。
カラー情報を必要とする場合は、256階調かつ150dpi以上、カラー情報を必要としない場合は、モノクロ2値かつ200dpi以上、あるいはモノクロ中間調かつ150dpi以上の読み取りを求めています。なお、改ざん痕の発見など特殊な用途には、カラー256階調かつ200dpi以上の読み取りを提言しています。これらの基準で取り込んだデータはJPEG圧縮後でも、A4サイズで1ページあたり、カラーでは200〜500KB、モノクロ2値では 30〜200KB、モノクロ中間調では150〜400KB、最後のものは400〜600KBにもなるようです。

       
  完全性
    電子データが消えたり破損したりしないように対応し、データを消去したり改変できないようにするとともに、改変などを行った場合はその事実を確認できることが必要です。
このために、電子文書へのアクセスを適切に管理し、ログデータの保存機能を設けることが求められています。
改変の事実の有無、電子文書間の作成順序関係を検証できる措置を講じることとし、電子署名を付したり、タイムスタンプなどで時刻保障をすることを例示しています。
       
  機密性
    許可された人以外は、アクセスできないようにすることです。
       
  検索性
    必要な程度で検索できるようにするとされていますが、これは常識的とも言える事項です。
       

 

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Updated on 2013/09/28