2.増加する書類
2-2. 保存が必要な書類の増加
2-2-2.コンプライアンス
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

コンプライアンスは日本語では法令遵守と一般には訳されていますが、単に法律の遵守だけでは不十分で、幅の広いものが含まれています。そして、対外的に説明する責任(アカウカタビリティ)があるとされるようになりました。
 
コンプライアンス(compliance)
 

コンプライアンスとは、もともと希望や要求に対して応ずること、法律や規則に従うことを意味していますが、企業内では法令遵守を意味するようになってきました。しかし、企業内でのコンプライアンスでは、単に法律だけを守るのではなく、各種の実務基準や社内規則、さらには企業倫理にまで対象が広がってきています。

金融庁の企業会計審議会より「財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準」が2007年2月に発表されましたが、ここで示された4つの基準『(1).業務の有効性及び効率性、(2).財務報告の信頼性、(3).事業活動に関わる法令等の遵守、(4).資産の保全』にも法令等の遵守があげられています。事業活動に関わる法令については、以下のものから構成されると、具体的に示しています。

  1. 法令
    組織が事業活動を行っていく上で、遵守することが求められる国内外の法律、命令、条令、規則等。
  2. 基準等
    法令以外であって、組織の外部からの強制力をもって遵守が求められる規範。例えば、取引所の規則、会計基準等。
  3. 自社内外の行動規範
    上記以外の規範で組織が遵守することを求められ、又は自主的に遵守することを決定したもの。例えば組織の定款、その他の内部規定、業界等の行動規範等。

法令違反に対しては内部告発の制度(公益通報者保護法)も整備されてきており、企業活動にとってコンプライアンスは重要な経営方針になってきています。

   

アカウンタビリティ (説明責任:accountability)

 

コンプライアンスは、単に法令などを守っているだけではなく、守っていることを、対外的に説明する責任(アカウンタビリティ)があるとされています。

資料の開示については、平成17年8月に経済産業省が発表した「コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制に関する開示・評価の枠組について −構築及び開示のための指針−」には、次のように書かれています。

「企業経営者が、コーポレートガバナンス及びリスク管理・内部統制に係る取組状況を当該企業のホームページ等により広く開示するとともに、制度開示において積極的に対応することによって、説明責任(アカウンタビリティ)等を果たし、企業経営の公正性及び透明 性を確保することは極めて重要である。企業経営者が株主・投資家等ステークホルダーへの情報開示を行う際、上記のようなコーポレ ートガバナンス及びリスク管理・内部統制に係る体制を単に開示するということだけではなく、実際に企業経営者が行っている取組が 機能していることまで含めて開示すべきである。」
(コーポレートガバナンス:企業経営を規律するための仕組み)

内部統制では、内部統制報告書としての報告義務がありますが、ここではさらに一歩進めて、ホームページ等により広く開示するように求めています。

   
CSR(企業の社会的責任:Corporate Social Responsibility)
 

コンプライアンスの対象が単に法令だけでなく、自主規定にまで及んでいることから、CSR(企業の社会的責任)もその対象と考えられるようになってきました。

CSRについては、『「企業の社会的責任(CSR)に関する懇談会」中間報告書』(経済産業省、H16.9)に、以下のようにまとめられています。
@ CSRは様々なステークホルダー(消費者、従業員、投資家、地域住民、NGOなど利害関係者)との交流の中で実現される。
A CSRは企業外とのコミュニケーションに留まらず、企業内における組織体制の構築なども含まれる。
B CSRは、最低限の法令遵守はもとより、事業と密接な関係を有する製品・サービスの安全確保、地球環境・廃棄物リサイクル対策を含めた環境保護、労働環境改善、労働基準の遵守、人材育成、人権尊重、腐敗防止、公正な競争、地域貢献など、更に地域投資やメセナ活動、フィランソロピー(社会貢献)など様々な活動に及ぶ。
C CSRは国や地域の価値観、文化、経済、社会事情によって多様である。
D CSRの内容・取組に関しては、企業の自主性・多様性と戦略的取組が重要である。
E CSRの信頼性を支える取組で最も重要なものは、情報開示と説明責任、ステークホルダーによる評価とステークホルダーとの対話である。

ここでも法令順守、情報開示と説明責任が求められています。

   

記録管理

 

企業活動の基本としてコンプライアンスが求められ、これがCSRにまで拡大し、説明責任が求められるようになって来ていますが、これらの活動を証拠としての記録が必要となります。

JIS X 0902-1(情報及びドキュメンテーション−記録管理)(「記録管理のISO15489 (JIS X 0902)」のページ参照)では、コンプライアンスのことを規制環境していますが、「組織は規制環境を順守していることを示す適切な証拠をその活動の記録として残すことが望ましい。」としています。

一方、金融庁の実施基準では、「記録・保存に当たっては、後日、第三者による検証が可能となるよう、関連する証拠書類を適切に保存する必要がある。」と、厳しく定められています。

コンプライアンスでは、企業の姿勢だけでなく、組織内への教育も求められており、アカウンタビリティのために、確かに教育したことを示す資料(教育内容、日時、対象者リストなど)も記録して残すことが求められています。

   

内部統制で求められるコンプライアンスやアカウンタビリティについては、どこまで実施すればよいのか、まだはっきりしているわけではありませんが、
ISO9000などで求められているよりさらに厳しい文書管理が必要です。

 

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Updated on 2013/09/28