13.ファイリングに関する動き
13-2.IT戦略
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
HOMEへ

 

これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

2000年末に IT国家戦略が制定され、2001年にはIT基本法が制定されるなど、国のIT化に向けての動きは、かなり急速なものです。
 
ITとは
 

IT(Information Technology)は、日本語では情報技術と訳されており、情報を取り扱う技術のことを示しています。有用な情報のデータベース化とその利用、コンピュータのネットワーク化と、これを利用した情報の交換などが挙げられます。

なお、総務省は2001年度よりIT政策大綱を発表してきましたが、2004年8月に発表した「平成17年度ICT政策大綱」で、IT政策からICT政策へと名称を変更しています。ICTとはInformation & Communications Technology の略で、情報通信におけるコミュニケーションの重要性をより一層明確化するためとしています。
しかし、総務省が名称を変更した後でも、IT戦略本部や経済産業省ではITの言葉を使い続けており、政府として統一したものにはなっていないようです。
これは総務省が通信関係の統括官庁であることから、省の権益を強調するためにコミュニケーションの言葉を入れたかったからとも言われています。

         
これまでの経緯
  高度情報通信社会推進本部設置(94年 8月)
         
  行政情報化推進基本計画」(94年12月 閣議決)
    1.情報化の進展に対応した行政情報システムの整備
    2.情報化に対応した制度・慣行の改善
    3 その他情報化を推進するための基盤整備
      (1)組織的基盤の充実
      (2)人的基盤の充実
      (3)予算及び調達の改善
         
  高度情報通信社会に向けた基本方針」(95年 2月 高度情報通信社会推進本部決定)
    (1) 公共分野の情報化等(公共分野のアプリケーションの開発・普及等)
(2) 情報通信の高度化のための諸制度の見直し
(3) ネットワークインフラの整備
(4) 情報化の進展に対応した著作権等の施策の展開
(5) セキュリティ対策、プライバシー対策
(6) 相互運用性・相互接続性の確保
(7) ソフトの供給
(8) 基礎的な技術開発
(9) 人材の育成
         
  高度情報通信社会に向けた基本方針」(98年11月 高度情報通信社会推進本部改定)
   

(1)電子商取引等推進のための環境整備
(2)公共分野の情報化
(3)情報通信の高度化のための諸制度の見直し
(4)情報リテラシーの向上、人材育成、教育の情報化
(5)ネットワークインフラの整備
(6)基礎的・先端的な研究開発
(7)ハイテク犯罪対策・セキュリティ対策・プライバシー対策
(8)ソフトウェアの供給
(9)コンテンツの充実
(10)相互運用性・相互接続性の確保

(9)のコンテンツの充実が追加されているほか、あげられている項目の順が大きく変わり、優先順位が変更されています。

         
  ミレニアム・プロジェクト」(99年10月 内閣総理大臣決定)
    1.情報化(−誰もが自由自在に情報にアクセスできる社会を目指して−)
    2.高齢化(−活き活きとした高齢化社会を目指して−)
    3.環境対応 (−循環型社会の構築を目指して−)
         
  「情報通信技術(IT)戦略本部」設置(00年 7月)
         
  IT基本戦略」(00年 11月 IT戦略会議)
    1.超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策
2.電子商取引
3.電子政府の実現
4.人材育成の強化
         
  書面の交付等に関する情報通信の技術の利用のための関係法令の整備に関する法律」(IT書面一括法) 公布(00年 11月)
    紙による書面の交付や手続きを義務付けている法律を一括で、電子的な手段でも書面を公布できるようにしたもの。
         
  高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(IT基本法) 公布(00年 11月)
         
  e-Japan 戦略」策定 (01年 1月 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)
    1.超高速ネットワークインフラ整備及び競争政策
2.電子商取引ルールと新たな環境整備
3.電子政府の実現
4.人材育成の強化
         
  「平成14年度IT政策大綱」策定 (01年 8月 総務省)
   

平成14年度においては、次の5分野について、重点的に政策展開を図っていくこととする。
(1).超高速ネットワークインフラの整備、その利用の促進
(2).電子政府・電子自治体の実現等
(3).人材の育成
(4).デジタル・ディバイドの解消
(5).戦略的研究開発の推進

         
  e-Japan戦略II」策定 (03年 7月 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)
   

IT利活用により、「元気・安心・感動・便利」社会を目指す
・「構造改革」:ITを駆使した無駄の排除と経営資源の有効活用
・「新価値創造」:IT環境上で、新しい産業・サービス創出
・「個の視点」:個の視点に基づいた改革
・「新たな国際関係」:IT分野の国際展開

⇒ IT基盤を活かした社会経済システムの積極的な改革

         
  「平成17年度ICT政策大綱」策定 (04年 8月 総務省)
   

「ユビキタスネット社会の実現へ向けて」との副題です。
総務省からは、平成14年度から毎年「IT政策大綱」が発表されてきましたが、この年からは“IT(Information Technology)”にかわり“ICT(Information & Communications Technology )”と変更されました。

         
  IT新改革戦略」策定 (06年 1月 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部)
    これまで制定されてきた「e-Japan戦略」に替わるものとして制定されました。
ITの改革のために「IT化を妨げる社会的制約を排除」と強い表現となってます。
         
IT化とは?
 

IT化を進めるとして、94年から毎年のように方針や戦略が決定されています。その内容は政府が率先してIT化を進めていくような文章にはなっていますが、実際にはアメリカなどでは実現されていた通信環境の整備や電子申請の容認などです。
また、このような方針を次々に決定し始めたのはITバブルの時期と重なり、また2001年の省庁再編(2001年1月16日)も背景にはありそうです。

電子政府・行政の情報化は、これまで遅れていた行政のOA化以外の何物でもありません。規制緩和も、情報化をまったく考慮していなかった各種の規定を変更することで、民間からの要望に一部応えるただけで、後追いにしかすぎません。
交通にたとえてみると、高速道路を建設(ネットワークインフラを整備)し、自動車教習所を増設(人材育成を強化)して、民間人に運転を許可(民間に対する規制緩和)しようとするものです。自動車をよく使うように、出かける先としてリゾート地や遊園地も整備(コンテンツの充実)しようとしています。また、これまで政府もせいぜい自転車しか使っていなかったので、これからは自動車を使うようにしましょうとするものにすぎません。
最も大切な、自動車を使って何をするかはほとんど議論されていません。

これに対しアメリカの場合は、道路や自動車関係の技術で世界をコントロールするだけでなく、製法特許や道路の走り方(ビジネスモデル)ので特許で押さえて、特許収入の増大を図ろうとする戦略が見えてきます。

2008年4月には「デジタル新時代に向けた新たな戦略」などと新しい戦略らしいものも発表されていますが、深刻化する不況への対応として「追加投資により雇用を確保する」や「産業・地域の活性化及び新産業の育成」、医療制度の問題に対応するために「地域医療の再生」など、普通に行うべき政策のうち、ITに関係付けて説明しているだけのように感じます。

         

 

| Topページ | 0.はじめに | 1.情報の記録 | 2.増加する書類 | 3.作成から廃棄まで |
| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

backnext| 7.電子ファイルとファイリング | 8.LANの活用と問題点 | 9.ファイリング意識の向上 |
| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム |
| 12.リスク管理 | 13.ファイリングに関する動き | 14.付録 | 15.編集雑記 |


Updated on 2013/09/28