4.書類の整理 |
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書類、文書、記録などの言葉があり、日常ではその区別をあまり意識しないで使用しています。しかし、その意味については人それぞれにとらえ方が違っています。 まず、それぞれの言葉の意味を、一般的な定義をみてみます。 |
広辞苑による説明 | ||
書類 | ||
しょ-るい【書類】かきつけ・文書の総称。特に、事務や記録の文書。 | ||
文書 | ||
ぶん‐しょ【文書】 (古くはブンジョとも)文字や記号を用いて人の意思を書きあらわしたもの。かきもの。ふみ。もんじょ。(2008年発行第6版) 第4版(1991年発行) では『文字で人の思想をあらわしたもの。かきもの。ふみ。もんじょ。』とあり、「記号」は含まれておらず、コンピュータの発達など、時代背景の変化がうかがえます。 |
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記録 | ||
き‐ろく【記録】@のちのちに伝える必要から、事実を書きしるすこと。また、その文書。特に史料としての日記・部類記の類。A競技などの成績・結果。特に、その最高のもの。また、物事の状態・結果などを数値で表したもの。レコード。 | ||
JISなどによる定義 | ||
文書 (document) | ||
・ | 人の意思を文字、その他の記号、画像などの手段で記録媒体などに記録したもの。(JIS Z 6016:2008) | |
・ | 一つの単位として取り扱われる記録された情報。又はオブジェクト。(JIS X 0902-1:2005) | |
・ | 情報及びそれを保持する媒体。 (JIS Q 9000) | |
・ | 使用者とシステムの間で1単位としてマネジメントでき、かつ、交換できる固定され構造化された一定量の情報の集まり。(JIS Z 8245-1:2006) | |
記録 (records) | ||
・ | (1).あらかじめ設定された目的のために選択され提示された人物又は事物に関するデータの集合。 (2).官庁、組織及び個人が、法的業務遂行又は事務的交渉のために作成し、受領し又は保持する資料。 (JIS X 0701:2005) | |
・ | 法的な責任の履行、又は業務処理における、証拠及び情報として、組織、又は個人が作成、取得及び維持する情報。(JIS X 0902-1:2005) | |
・ | 達成した結果を記述した、又は実施した活動の証拠を提供する文書。 (JIS Q 9000) | |
書類とは文書や記録を含む総称とありますが、JISなどの規格による定義は無いようです。ただ、一般的には書類というと、紙に書かれた(印刷された)ものをイメージするのではないでしょうか。もちろん電子データも書類に含まれ、「○○の書類を電子メールに添付して送る」などとも使われており、どちらかというと紙のイメージが強いというだけです。
文書については厳密に言うとそのとらえ方も微妙に違ってくることもありますが、あまり議論となることはありません。しかし、「記録」については人によってそのとらえ方に大きな違いがあります。
JIS X 0902-1の解説で、『“document” と “records” の違いについて日本ではほとんど “文書” と “記録” を区別しては使
っていないため、 “document” を “資料” とし、 “records” を “文書” とする意見もあったが、ISO 15489の “用語及び定義”
に合わせ、当要員会では、 “document” を “文書” 、 “records” を “記録” とすることに 決定した。.
ちなみに,既に日本で定着しているJISQ 9001(品質マネジメントシステムー要求事項)では “document” を “文書” と訳し、 “情報及びそれを保持する媒体”
と定義し、 “records” は “記録” と訳し、 “達成した結果を記述した、又は実施した活動の証拠を提供する文書” と定義している。また、JISQ14001
(環境マネジメントシステムー要求事項及び利用の手引)でも同様の定義を行っている。』と書かれています。
この文脈から見ると、「records」と「document」が明確に区別されて書かれているようにとらえていますが、ISO9001とISO14001の中で、この概念が混同されて使用されているとも指摘されており、このような反省から来ているのか、ISO委員会では「ISOマネジメントシステム規格の整合化に関して」と題するレポートの中で、『文書(documentation)・記録(record)の用語を、
“文書化された情報(documented information)” という用語へ。』と統一を図るとしています。
また、ISO15489-1のJIS化に際し、 “records” の訳としてARMA関係者は記録、行政システム関係者は文書とすべきと議論が分かれていたとの話もあります。
ISO15489-1(JIS X 0902-1:2005)では、上に転載しているように、『法的な責任の履行、又は業務処理における、証拠及び情報として、・・・』としており、その記録とする範囲が限定されています。これをさらに進めて、説明責任のための文書が、責任のある人に「承認」されてはじめて「記録」となるのだと定義し、それ以外は「記録」ではないように言っている人もいます。
ここで言われている「記録」とは、業務指示書、報告書、会議録など、事務的な業務に関するものに限定されています。
「承認」されて「記録」となるとの考えとは全く逆に、文書には「承認」が必要で、記録には「承認」が必要ないとする考えもあります。これはISO9001などに関連するものが、これに該当します。
作業手順書、検査要領書などの文書は改訂されるものであり、誰かによって承認され、作業者などに伝達されます。これに対し、分析データ、実験データ。装置の稼働状況などは、その時の状態を書き記したものであり、「承認」するものではありません。(ただし、記入漏れや異常値がないかなどをチェックすることはあります。)
分析データ、実験データ。装置の稼働状況などを記録したものは、広い意味では「業務処理における、証拠及び情報」ともとらえることはできますが、すこし無理があるように思えます。これらデータをまとめて整理した報告書では、それに対する解釈などが入るため、承認のステップが含まれるケースも増加します。
いろいろ書きましたが、結局のところ記録とは、『事実を示すものであり変更することは許されないもの』と、言えます。
| Topページ |
0.はじめに | 1.情報の記録 | 2.増加する書類
| 3.作成から廃棄まで |
| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用
|
|
7.電子ファイルとファイリング | 8.LANの活用と問題点
| 9.ファイリング意識の向上 |
| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム
|
| 12.リスク管理 | 13.ファイリングに関する動き
| 14.付録 | 15.編集雑記 |
Updated on 2013/09/28