11.マネジメントシステム
11-4.エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント
(旧「ファイリングの部屋」アーカイブ)
ファイリングの部屋
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これまで hi-ho.ne.jp で公開していた「ファイリングの部屋」を、この新しいドメイン(filingroom..jp)にもコピーしました。不要と思われるページは削除していますが、内容はそのままです。
従来のアドレスにも、当面は残しておきますが、できるだけこちらを利用していただければ幸いです。

 

文書情報管理には、各種のシステムがありますが、これらのシステムを統合したものとして、エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント・システムが提唱されています。
 
エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント(ECM:Enterprise Content Management)
 

各種のマネジメントシステム」のページでも触れていますが、管理システムは、一般的には対象とする情報によって個別のシステムとして構築されがちです。しかし、それぞれが独立システムとした場合、利用者から見れば多数のシステムが混在し、複雑なシステムとなってしまいます。また、部門によって対象文書が大きく異なる場合は、その部門で独自にシステムを構築することとなり、ますます不便なものとなります。
このため、組織の枠を越え、さらに各種システムの壁を越えた情報共有と、運用・管理を実現する統合的な文書情報マネジメントを、エンタープライズ・コンテンツ・マネジメント・システムと呼ぶようになりました。

文書管理を古くから行ってきたところでは、スキャナで紙の書類を読み取り、光ディスクに格納する光ファイリングシステムやCOLD/ERM(Computer output to laser disk / enterprise report management : レーザーディスクへのコンピュータ出力)などの専用システムを利用していたため、これらのデータも含め、文書管理、ドキュメントイメージング、ウェブ・コンテンツ管理、デジタル資産管理などの機能まで総合的に管理しようとするものです。

組織内の全てのデジタル・コンテンツを一元的に管理しようとするために、文書などのデータ(非構造化データ)と、データベースに登録されたデータ(構造化データ)まで取り扱います。

   
構造化データと非構造化データ
 

構造化データとは、キーワードなどによって整理され、検索が容易なもので、データベースとして取り扱われるデータを示しています。
これに対して非構造化データは、キーワードで整理されていない文書などのデータを示しています。データベースのキーワードには、作成日時、作成者、更新履歴、内容分類などが用いられ、これらを組み合わせて絞り込むことで、目的の情報に容易に到達することができます。しかし、キーワードの付与は、人手が必要で、分類やキーワードの付与を間違うと、必要な情報を得ることはできません。

構造化データの具体例としては、メインフレームのデータのほか、各種のデータベースで管理されているデータなどがある。非構造化データには、申込書、報告書、オフィスでの事務文書、電子メール、写真やビデオのほかスキャニングした紙の文書までいろいろあります。

   
ECM導入のメリット
 

文書情報マネジメント・システムを導入し、ビジネス環境がデジタル化することで、検索性、生産効率は向上します。さらに、各種の情報を統一的に管理することから、保管している情報の利用効率が格段に上がるだけでなく、各種情報の適切な管理体系の実現が容易になります。
また、セキュリティ管理、履歴管理についても、システムレベルで統一的に実現できるようになり、組織のコンプライアンス向上を図ることが可能となります。

これらのメリットは5つの「C」としてまとめることができます。

1.Compliance:コンプライアンス
 データへのアクセス制限をかけることで、情報のセキュリティを保つことが出来るようになります。アクセス管理と履歴管理を行うことで、内部統制で求められている監査要件も満たすことが出来ます。

2.Collaboration:コラボレーション
 コラボレーションは共同作業のことで、社内連携を強化することができます。部門内のワークフローだけでなく、複数の部門をまたいだ業務フローの構築も容易となります。また、顧客情報などを社内の各部門で共有できるようになるため、製造・販売・研究開発の連携を強化することができます。

3.Customer Relationship:顧客関係
 顧客の要求に対して、即座に対応できるようにすることで、顧客満足度を高めることが出来ます。また、より効率的に顧客をフォローすることで、より満足度の高いサービスを提供することも出来るようになります。

4.Cost:費用対効果
 書類の作成、保存、配付のコストを削減できるだけでなく、必要な書類を探し出す時間を短縮できるため、労力の無駄をさけることができます。また、効率的な情報共有を通して、業務プロセスを、より効率的、効果的にするための改善も期待できます。

5.Continuity:継続性
 BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)を維持するために、重要な書類の管理が容易に出来るようになります。また、キーマンが不在の時でも、情報が整理されていれば、とりあえず業務を進めることが可能となります。

   
JISによる定義
 

2010年に改訂されたJIS Z 6015 で、ECMが用語として定義されました。これによると「組織が機能する上で大事な情報を入手し、組織化し、保存し、提供するための一連の処理方法及び統合する管理方式」とされ、さらに注記として「これはコンテンツの入力、分類・登録などの処理、保管、保存及び配付の五つの要素に分けられる」、「ECMの基本的な目的は、アクセスを効率化し、ボトルネックを解消し、セキュリティを適正化し、真正性を保って、経費を最小限にすること」と、説明されています。

メリットとして説明したものと多少異なった説明となっていますが、ECMを異なる角度から説明したものであり、本質の考え方は同じです。

   
ECMシステムの現状
 

EMCの概念が登場してまだ日も浅く、まだまだ発展途上にあるといえます。システムベンダーによっては、取り扱えないデータがある場合もあり、取り扱える場合も得意不得意があるため、システムの選択には注意が必要です。
また、それぞれの組織でもすべての領域に渡るデータを所有しているわけではなく、たとえ所有していたとしても、その重要性には相当の差があるのが普通です。このため、求める機能をどこまで現実的に実現できるかを見極める必要があります。

   

 

| Topページ | 0.はじめに | 1.情報の記録 | 2.増加する書類 | 3.作成から廃棄まで |
| 4.書類の整理 | 5.書類の電子化 | 6.電子化書類の活用 |

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| 10.ファイリングを考慮した書類の作成 | 11.マネジメントシステム |
| 12.リスク管理 | 13.ファイリングに関する動き | 14.付録 | 15.編集雑記 |


Updated on 2013/09/28