ペーパーレス

ITmedia ビジネスオンラインが2018年8月28日に、「なぜ今「ペーパーレス」が再注目されているのか?」の記事を掲載しました。これによると、これまでにペーパーレスには2回のブームがあり、最初は1970年代で、PCが社内や部内に1台、2台と導入され、OA(オフィスオートメーション)の未来像とうたわれましたが、技術や環境が整っておらず、お題目として終わってしまったとのことです。

次のブームは1990年代半ばで、PCが普及し、社内ネットワークも導入が始まった時で、コストやエコの観点からペーパーレスが本格的な定着が始まりましたが、スキャナーやデータを保存するストレージも高額だったこともあり、考え方は定着したものの広く普及することはありませんでしたが、いま改めて注目されて来ているとのことです。
これまでの目的が、「エコ」や「コスト圧縮」であり、単なる「どう紙を減らすか」であったものが、「ワークスタイル改革・生産性向上」の目的が加わったからであるとしています。

これまでのペーパーレスを考えると、ユーザーからの強い要望からではなく、メーカー主導であったような感じがしてしまいます。この技術・装置を導入すれば、倉庫にある紙を安心して捨てることができるようになりますとか、部屋の中をすっきり整理することができますとの売り言葉に、あまり深く考えることなく乗っていたのが実態なのではないでしょうか。
この記事では触れられていませんが、1980年代には光ファイリングの装置が販売されて、大いに宣伝されましたが、これもそれほど普及しませんでした。

ペーパーレスが進まなかった一つの原因は、口ではペーパーレスを唱える上司などには、一度読めばいいようなメールを印刷して読んでいたり、ごく一部分だけが必要な資料もすべて印刷するなど、多くいたからだと思われます。また、キーワードをどのようにつければいいのか、どのように検索して利用するのかが明確ではないため、誰でもができるのではなく、専門家にまかせざるを得なかったことも一因でしょう。

また若手を中心に、会議にパソコンやタブレットを持ち込み、資料の閲覧やメモを取ったりしている人が増えていますが、いまだに紙の会議資料を要求する高年齢層がいれば、ペーパーレスなど進むわけがありません。

いま注目されているキーワードは、「ワークスタイル改革・生産性向上」ですが、これも何となく政府主導、メーカー主導の掛け声のようで、働き方改革ではなく、働かせ方改革の感じがぬぐえません。

残業時間削減として、家などでサービス残業を奨励したり、通常は勤務時間に通勤時間を含めませんが、浮いた時間で仕事ができるなどは組織目線ですね。本当は、いつでも、好きな時に休める、退社できることが必須ですが、またあの人は出てきていないと言われるとか、あの定例会議には必ず出席するように、などの圧力があってはなかなか実行できるものではありません。

2018年09月03日