デジタル国家創造宣言
政府のIT総合戦略本部は毎年6月に、IT化を進める「世界最先端IT国家創造宣言」を出していますが、今年(2018年)は6月15日「世界最先端デジタル国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」を発表しました。
こり中で「政府の行政サービスを起点として、紙中心のこれまでの行政の在り方等を含めた大改革を断行する」と。紙からの脱却を図ることをうたっています。重点取り組みとして行政サービスの100%デジタル化や行政保有データの100%オープン化のほか、政府だけでなく地方自治体のデジタル改革、民間部門のデジタル改革などが掲げられており、いよいよ各方面でデジタル化が進み、便利な世の中となるように感じられます。
しかしよく見ると、すでに民間から強く要望されてきたものや、世の中の技術の進展に押されて黙っていても進むだろうと思われるものがほとんどで、あまり目新しいものは無いような気がします。また、行政サービスを100%デジタル化とはいっても、ほとんどが窓口業務の合理化、省力化であり、行政の執行部分などについてはほとんど何も触れられていないようです。
また、官庁への納品は電子データが基本であっても、完成図書を印刷物としても納品したり、補助の説明資料を紙で納めたりするなどはあたりまえのように行われていますし、官庁から民間への立ち入り調査では、調査用の資料を印刷物として準備しなければならないため、表向きは電子化がすすんでいても紙はなくなりません。(たとえば製薬関係の申請などはすべて電子化されていますが、厚生労働省による調査では紙の書類を要求され、紙の書類をなくすることでできないそうです。)
いま問題となっている森友問題の調査報告書にも書かれていますが、電子決済を用いてはいても、担当者が概要の説明資料を紙の書類として作成し、決裁者に事前説明(根回し)をしたうえで電子決済を回すことが一般的と書かれていますが、表向きは電子決済が普及したとしていても、実際は紙は減ってはいません。